英語で情報を取る:Lunch with the FT、中国人留学生、routine work [久松 20110308]

浅見さん、綾部さん、西中さん、須賀さん、丹羽さん:
<関心がありそうな人には転送してもかまいません>
<不要なら、久松に送るな、と言ってください>
<暇な時に読んで頂ければ幸いです>

本日は三題話プラスおまけです。三題は、1)Lunch with the FT、
2)米国で勉強する中国人留学生、そして、3)routine workはコンピュータに
取って代わられる、です。おまけはAERAに掲載された私のコメントの
補足です。

最初は、英国ロンドンの金融新聞Financial Timesの週末コラム、
Lunch with the FTです。これは、FT記者が有名人と一緒に、有名人の
指定したレストランで昼食を食べて話をするという記事で、ある意味、
このコラムに呼ばれること自体が一つのステイタスかもしれません。

March 4, 2011はFT記者のJohn Gapperが
ショーン・パーカー氏と昼食を食べました。
では、なぜ昼食なのでしょうか。朝食でも夕食でもないのでしょうか。
これは、英米を中心とした習慣だと思いますが、ビジネス・ランチは
昼食が多いのです。これを英語ではPower lunchと言うことが
あります。Power dinnerなんて言う言い方は滅多にしません。
検索してみると、Power lunchの検索数は約442,000件、
これに対してPower dinnerは約49,200件です。

もちろん所変われば習慣変わるで、メキシコではPower lunchより
Power breakfastが普通でした。日本は接待という仕事飯は
夕飯ですし、仕事の飲み会も夕食ですよね。では、なぜ英米では
ビジネス飯は昼食なのでしょうか。私は正確なことは知りませんので、
推測で申し上げます。まず、大都市で朝食に集まるのは通勤も
あるので大変。ビジネス街で働いていれば昼食に集まるのはより便利。
夕食は家族や恋人や友人のために使うことが多い。
一つの目安ですが、
朝食は自分の一日のため、昼食は交友を広げるため、
夕食は交友を深めるため、と考えてもよいでしょう。

ということで、Lunch with the FTです。
ショーン・パーカーって誰でしょう。映画The Social Networkを
観た人なら、聞いたことあるって思っていただけるのではないでしょうか。
Justin Timberlakeが演じた役で、New Yorkのレストランで
四人のメニューを決めちゃった男です。わからなかったら
WikipediaJustin Timberlakeの写真を確認してみてください。

じゃぁ中身です。ちょっとファッショナブルなbusiness lunchの模様が
今回のショーン・パーカーとのLunch with the FTに書かれています。
英語表現として知っておいたほうがいいのは、
wonkという言葉です。パーカー氏を表すこんな表現に出てきます。
He is pale-faced and intense, with a mop of reddish-brown hair and a
beard, and talks as fast and rhetorically as a West Wing wonk.

手持ちの英英辞典を引いてみると
a person who works or studies too much
と出てきます。例文がいいです。
The president has been given so much different advice by the
Washington policy wonks that he's now incapable of dealing with the
current crisis in a swift and decisive manner.
この"policy wonk"という言葉は「政策マニア」とか「政策おたく」という語感だと思います。
wonkの形容詞はwonkishであり、これは口語で「専門家向きの」もしくは
「おたく向け」という感じですね。ちょっとpejorativeな語感があると思うので、
控え目に言う時に使えます。

West Wing wonkというのは、米国ワシントンDCのホワイトハウス西棟で
仕事をするpolicy wonkのことです。West Wingという言葉は米国の中でも
テレビ・シリーズWest Wing(邦題は「ホワイトハウス」)でよく知られるように
なりました。俳優ロブ・ロウが演じるサム、及びジョシュ、そしてトービーが
典型的なWest Wing wonk = policy wonkです。米国政治システムが知りたければ
「ホワイト・ハウス」は非常に勉強になりますから是非とも見てください。
私に理解不能な表現が山のようにありますが、筋は面白いです。
奥さんと私は最近Season 3を見ています(大昔Season1と2を見たのです)。

あと注目はwineでしょうか。Nebbiolo grapeという表現というのが出てきます。
これはネッビオロ種というワイン原料の葡萄の種類のことです。
wineは、よほど好きでないのなら銘柄や収穫年を覚える必要はありません。
寄り道ですが、ご自宅にワインセラーをお持ちの芦野先生は
たぶん銘柄と収穫年を覚えていると思います。
尋ねてみるといいですよ。

その代わり、ぶどうの種類と味を関連付けるといいです。例えば、
白ワイン用のブドウの種類だと、
シャルドネソーヴィニョン・ブラン、マスカット(モスカート)ぐらい
しか私は知りません。
赤ワインだといろいろあって、
カベルネ・ソーヴィニョン、グルナッシュ(ガルナッチャ)、
サンジョベーゼ、テンプラニーリョ、メルローぐらいが
多少は私がイメージできる赤ワイン用のブドウ種かしら。
もちろん、覆面テストなんて無理ですよ。

皆さんにお勧めするのは、ワインを飲んだ時に、
それがちょっと高そうな雰囲気で、かつ美味しかったら
ぶどうの種類を尋ねて、記憶しておくといいかもしれません。
万一、飲みたいワインかなんかある?ってきかれた時に、
「銘柄は知りませんけど、昔、サンジョベーゼ種のワインが
美味しいって思ったことあるんです」なんて言えます。

サンジョベーゼ種はイタリアのワインによく用いられる葡萄ですが、
たとえフランス・レストランでそういう発言をしたとしても、
デート相手の男の子が、ソムリエ役の店員に
『それじゃ、サンジョベーゼが好きな人にお勧めのワインって
何かありますか?』ってフォローしてくれますよ。
妄想デートでした。アハハ。

さて、次はJames FallowsのThe Atlantic(雑誌)のブログに
ゲスト出演した「上海で教育コンサルタントをしているLucia Pierceさん」の
ブログ・ポストです。
For Chinese Students in America, It's Hard to Make Friends
http://www.theatlantic.com/international/archive/2011/03/for-chinese-students-in-america-its-hard-to-make-friends/72075/

James Fallowsとという人は、『日本封じ込め』や『沈まない太陽』という
翻訳も出ている日本論を書いたアジア通の米国人記者ですが、
ここ10年ぐらいは中国に駐在したりして、現在は中国についての
本を書いています。彼は1970年代ジミー・カーター政権時代に、米国最年少の
スピーチ・ライターとして2年間ホワイト・ハウス西棟に勤務した経験を
持っています。その人のブログにゲストが書いた、中国人学生は
米国の大学で友達ができにくい、という記事です。
アジア人として括られやすい日本人にも多少はあてはまる記事です。

詳しくは読んでいただければいいので、一点だけ。じゃぁ、
友達をつくるためのアドバイスはというと、Pierceさん、
1)スポーツに詳しくなりましょう(例えばアメフトのルールね)、
2)文脈がわからなかったら質問しましょう。
と言ってます。私も賛成です。

本題最後は、Paul KrugmanのNYTコラムです。
Degrees and Dollars、直訳すると「大学学位とドル」、
http://www.nytimes.com/2011/03/07/opinion/07krugman.html?partner=rssnyt&emc=rss
もし万一読めなかったら、NYT購読は無料ですから、
サイン・アップして読んでください。
彼の質問は、大学を卒業してつく仕事は本当に儲かるのか、
という厳しい質問です。彼の答えはやや悲観的です。

ここで大事なのは、彼の結論を表面上で受け止めるのではなく
つまり記憶するのではなく、そのプロセス(論理)を自分でなぞる
/追ってみることです。これができるようになるのが大学での訓練です。
そして、この訓練を毎日することこそが、コンピュータ時代の21世紀でも
それなりに儲かる仕事につく一つの条件ではないかと私は
思ってます。ここを履き違えると、「大学は出たけれど」という
方向に自分を一歩進めてしまうことになるので注意してください。

彼のポイントは、
「コンピュータは規則に従ったルーティン・ワークが得意なので、
コンピュータに取って代わられる仕事は儲からなくなる」という
ことですね。大事な単語は、当然routineです。
habitual or fixed way of doing things
という意味です。

おまけです。雑誌AERAの3月14日号に「英語と就活」の
特集記事に私のコメントが載りました。
かなり「上から目線」の発言になっており、自分で反省しました。
取材を受けるときにどう振る舞えば良いか良い経験になりました。

久松