英語で情報を取る:RSSリーダー、人口、若者[久松 2011022]

浅見さん、綾部さん、西中さん、須賀さん、丹羽さん:
<関心がありそうな人には転送してもかまいません>
<不要なら、久松に送るな、と言ってください>
<暇な時に読んで頂ければ幸いです>

どうも久松です。なんとなく火曜日にこのメールを配信する
ようになっています。学期が始まれば、あまりメールを書いている
時間もなくなるので、万一、私が採集した情報に関心があれば
ブログを見るようにしてください。
http://cocolog-yoshi.cocolog-nifty.com/

さて、一つインターネット・テクニックを解説しておきましょう。
いわゆる「RSSリーダー」といわれるウェッブ・サービスで、
登録したブログの新情報を自動的に採取してくれるページです。
たとえば、私はPaul Krugmanのブログや、Financial Timesの
Martin Wolfのコラムを登録してあります。こうしておくと、
RSSリーダー」をチェックするだけで、いろんなブログやサイトの
新情報がわかるということになります。

私は「RSSリーダー」として、Googleのリーダーを使っています。
皆さんはtoyo.jpのアドレスのほかに、gmailのアドレスを
持っているかと思いますが、持っていない人は持ってください。
(理由は、toyo.jpのアドレスは、卒業すると失効するからです)
これを取ると、リーダーも使えるようになります。gmailサイトの上の
ほうにリーダーという文字が出てきます。

この「RSSリーダー」というサービスは、『はてな』というネット・サービスでは
「アンテナ」というサービスになっています。つまり、世の中に
アンテナを立てておくというイメージです。これは大事なことですから
どうぞトライしてみてください。ある意味では、twitterでフォローするのと
似ていますが、140字をフォローするのと、ブログやコラムの長文に
付き合うのは似て非なる作業なので、そういうこともできるように
なっておいてください。

閑話休題(さて)、今日のお題は、「RSSリーダー、人口、そして若者」です。
RSSリーダーの話はもう済みました。次は人口話です。英語で言うと
demographyですが、ご存じだといいのですが、最近、政治経済と人口話
よくピックアップされています。「少子高齢化」の日本では、毎日のように
その経済との関係が新聞に取り上げられていますが、バブルとの関係や
経済成長との関係も話題になっています。

バブルとの関係では、「逆依存人口比率と経済」という
このブログ・ポストが参考になります。
http://d.hatena.ne.jp/himaginary/20110202/this_time_may_truly_be_different
現在、中国の不動産バブルが懸念されていますが、グラフを見ると
実際バブルは存在し、ひょっとするとここ数年で崩壊するのではないか
という気になります。元発表は、日本銀行副総裁の西村清彦氏の学会講演
ですあり、英語の講演原稿が日銀サイトに掲載されています。
http://www.boj.or.jp/en/announcements/press/koen_2011/data/ko110111a.pdf

この他、人口と経済成長との関連で、知っておくべき用語は
「人口配当」、「人口ボーナス」、「人口オーナス」という三つ単語です。
英語では、demographic dividend, demographic bonus,
demographic onusという言葉に馴染んでおいてもらえると
よいと思います。なお、dividendという単語は、配当であり、
株を所有しているとその会社から支払われるお金のことです。
比喩として「peace dividend」(平和の配当)というような言い方も
するので頭に入れるべき単語です。久松ゼミはBusiness Economicsの
ゼミですので、そういう意味でもone of the must-remember wordsです。

もう一つ、人口についての最近の話題は、やはりエジプトそしてアラブ世界です。
若年人口が多く、そのため若年失業が多く、社会への不満が大きくなり、
今回の「民衆蜂起・政権転覆」に繋がったという解説です。
この点に関して、とてもinsightfulな(見通しの良い)コラムはFinancial Times (FT)の
コラムニストであるマーティン・ウルフ氏による
"Why the world's youth is in a revolting state of mind"
です。

私がハッとしたと思ったウルフ氏の見通しの良さは、最後から三段落目にあります。
日本を含めた先進国も、現在中東が体験している人口転換を経験した時期があり、
それは20世紀の中盤であり、この時期に先進国は若者を使って何をしたか、
それは戦争(例:第二次世界大戦)だと言うのです。
たしかに、戦争をするときに動員されるのは若者ですね。
まだリビアの状況があり、まだ色々状況は変化するのでわかりませんが、
現在の中東情勢は、戦争をしてしまった20世紀中盤の先進国より「賢明」だ
と言えるかもしれません。そういう歴史感覚を持てば、「民主主義の経験が
無い中近東諸国は今後あぶない」というよく見られる発言にかすかに
漂う「驕り(arrogance)」から自分を防ぐことができます。
こういう歴史を見据えた発言は、米国の識者よりも
英国を含めた欧州の識者から出てくることが多いので、参考になります。

もし万一、世界の経済発展と若者との関係を概観したいという人がいれば、
世界銀行『世界開発報告2007:経済開発と次世代』を図書館で
ブラウズすることをお勧めします。
http://www.ittosha.co.jp/isbn978-4-903532-06-6.html
英語版なら無料で読めます。
http://web.worldbank.org/WBSITE/EXTERNAL/EXTDEC/EXTRESEARCH/EXTWDRS/EXTWDR2007/0,,menuPK:1489865~pagePK:64167702~piPK:64167676~theSitePK:1489834,00.html

今回の中東、特にエジプトの状況は、人口だけでなく
通信技術(例:Facebook)、人口(若者)、群衆と権力、都市、宗教(例:イスラム)と
いろんなキーワードが出てきているので、極東の人間にとっては格好の思考実験になります。
もしできれば、いろいろ考えてみてください。

では。

久松

追伸:待っていたDani Rodrik著Globalization Paradoxが電子書籍
昨日配信されたので、読み始めました。世の中、便利になったものです。