オバマの一般教書演説[久松 20110126]

浅見さん、綾部さん:

どうも久松です。ときどき、お二人の米国留学に備えて、
私が見聞きした情報をお伝えすることにします。
私は米国で暮らす人の「常識」だというぐらいの
意気込みですが、私にも「偏り」があるので、時々よろしく。

昨日火曜日にオバマ大統領は「一般教書演説」を行いました。
英語ではState of the Union addressといいます。
NHKニュースは学校サイトに入れました。
まぁ見てみてください。
http://rdarc.rds.toyo.ac.jp/webdav/hisamatsu/internal/downloads/110126Obama_SOTU/

その一般情報については、Wikipediaでも見てください。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%80%E8%88%AC%E6%95%99%E6%9B%B8%E6%BC%94%E8%AA%AC

秋学期の開発経済論の教科書著者であるポール・クルーグマン(リベラル派)のブログ・コメントは下記。
http://krugman.blogs.nytimes.com/2011/01/25/sotu/

日本で一般に報道されるのはここまでですが、実は野党からこれに対する反対演説があります。
現在の野党は共和党であり、ポール・ライアン(下院議員)が代表して反対演説をおこないました。
内容は、歳出削減による公的債務削減を主張した模様です。
http://www.npr.org/2011/01/26/133228598/speech-transcripts-obama-ryan-bachmann

このあと、「茶会党」と呼ばれる共和党の一派の一人として
ミシェル・バックマン下院議員もスピーチをしたそうです。
これは異例です。

以下は、基礎知識の確認。
共和党はRepublican Partyですが、GOP (Grand Old Party)と呼ばれることもあります。
形容詞ではconservativeというのが良く使う形容詞。色は赤。右か左かというと右。
ビジネス寄りなので選挙資金が多い。
ニクソン、フォード、レーガン、ブッシュ親爺、ブッシュ息子が共和党の大統領。

民主党はDemocratic Partyです。形容詞ではliberalprogressiveという言葉と
馴染みが深い。色は青。右か左かというと左。
労働組合を支持母体として抱えています。
ケネディ、ジョンソン、カーター、クリントンオバマ民主党の大統領。

ではでは。

久松

Gillian TettのFTでのコラム[久松 20110122]

浅見さん・綾部さん:

どうも久松です。添付はFT (Financial Times、
ロンドンが本部の世界経済新聞、ピンクとオレンジの
中間色のような紙の色が特徴)のコラムニストである
ジリアン・テット(女性)による日本人と
中国人の米国の大学における存在についてのコラム。
コロンビア、ハーバードの話と言えば、皆さんとは
やや遠いように感じられるかもしれませんが、
基本は、米国における若い日本人という同じ種類の話です。
7分以内で読み飛ばして大意がわかりますか。

なお、ジリアン・テットは、社会人類学の教育を
受けた後、FT紙の記者となり、日本駐在時に
バブル崩壊金融危機を体験し、日本長期信用銀行
崩壊に関する良書「セイビング・ザ・サンリップルウッド新生銀行の誕生」
(翻訳あり)を書き、最近はリーマン・ショックにまで
つながる新しい金融派生商品の開発の歴史をJ.P.モルガンに
焦点をあてて描いた、これも良書「愚者の黄金」(翻訳あり)を
書いた新聞記者です。きらめくように頭がよいというよりは
非常に着実な書き手です。

"even when Japanese students can find the money to come, their English
is often too poor - and they often fail to properly
engage"と書かれると、くやしいので、お二人、励んでください。
私ももう少し気合いを入れます。
英語だけではない、engageの仕方が大事だというのがポイントです。
engageの仕方の一つは、理論的に質問を考えること。例えば、
国際政治経済で学んだような道具で、平易に世の中の問題を
考える思考実験を毎日おこない、議論すること。
他にもやり方はありますが、よろしくお願いします。

ではでは。

久松

So who’s top of the class now?
By Gillian Tett
Published: January 21 2011 22:04

英語で情報を取る:スーパーボウル、大相撲、エジプト軍 [久松 20110208]

浅見さん、綾部さん、西中さん、須賀さん、丹羽さん:
<関心がありそうな人には転送してもかまいません>
<不要なら、久松に送るな、と言ってください>
<暇な時に読んで頂ければ幸いです>

どうも久松です。昨日、超長文メールを書いて疲れたので
今回の「英語で情報を取る」は比較的短く行くつもりです。

米国で日曜にはスーパーボールがありました。クリスティーナ・アギレラ
国歌を間違えて歌ったことで日本でも報道されていましたが、
米国最大のスポーツ・イベントと言っても過言ではないでしょう。
その際に、放送される特別CMと共に注目されます。
(今年は、『カリブの海賊4』の予告編が流れたようですね)

米国に行く方は、お暇な時にアメフトのルールは覚えましょう。
私も細かい戦術・戦略は知りませんが、陣取り合戦で制限時間内に点を入れる
スポーツだということぐらいは知っています。今年のスーパーボウル
Green Bay PackersがPittsburgh Steelersを逃げ切って
面白かったです。

さて、経済学の重要単語であるincentiveとGreen Bay Packersとの
関係について、Rachel Maddowがリポートしています。
これは知っていてよい情報です。プロのアメフトは莫大な
お金が動くスポーツですが、Packersは唯一community franchiseです。
つまり、人口10万人のGreen Bay市(町?村?)のチームです。
その小さい町が、なぜNFLのチームを持てているのか?

Green Bay Packers: Cheeseheads of the people
Rachel Maddow reports on how the history and financing of the Green Bay
Packers makes it a unique team.
http://www.msnbc.msn.com/id/26315908/vp/41434288#41434288

サッカー好きの方なら、BarcelonaとReal Madridとの違いなども
思いだすかもしれんせん。

米国で国技と言えば、今ふれたアメフトに加えて、
野球、バスケットボール、アイスホッケーで
しょうが、英語ではNational PastimeもしくはNational Sportと言います。
National Pastimeという言葉を覚えてください。Wikipedia
これを引くと、日本の国技がリストには載ってませんでした。
http://en.wikipedia.org/wiki/National_pastime

しかし、「国技館」という言葉もあるように、大相撲は国技と名乗っています。
私も、大昔、北の湖が好きでしたので、相撲はそこそこ見てますが、
今回の八百長問題には、力士というより、ジャーナリズムに呆れています。

私の経済学基礎Aを履修した方は(いるかしら?)、教科書として
レヴィット=ダブナー『ヤバい経済学』を使ったことを覚えていらっしゃるでしょう。

そこに、統計学的には「八百長がないとは言えること」はありえないという
証明がされています。ずっと数字を見過ごしてきた大新聞はとても悪いです。
関係者であえて言わないことにしてきたのですね。
そして、背景には日本人の数字・統計学への知識・関心の無さが
露呈しているのだと思います。

英字新聞では、いろんな形で報道されていますが、一つだけ。
http://blogs.wsj.com/japanrealtime/2011/02/02/sumo-gambling-booze-and-drugs/
日本の事を外国語で言えるのは大事なことなので、読んでおきましょう。

さて、「言わないことにしてきた」こと、というのは言論封殺に通じる
わけで、そういう意味では民主主義に関わって結構問題なのですが、
今回のエジプト騒動で核心を握るエジプト軍について、興味深い報道がなされました。

私は、こういう報道はラジオの鏡だと思いますし、非常に頭の良い
先進国的なジャーナリズム(専門家に聞いてみよう!)だと
思います。私の好きなNPRのPlanet Moneyです。

The Friday Podcast: Egypt's Military, Inc.
http://www.npr.org/blogs/money/2011/02/07/133503696/the-friday-podcast-egypts-military-inc

このpodcastは素晴らしいです。真実の一面をついています。
そして、エジプトではこういうことはタブー(言わないこと)になっている
というのも興味深いです。但し、エジプト軍については、こういう経済面
の分析だけでなく、政治的な分析も必要です。FTに良いop-edが載ってました。
(読みたい方は言ってください。)

日本でもこういうジャーナリズムをやれる資源(専門家)はあるのですが、
私の知る限りでは、どのマスコミもやっていないようですね。もったいないことです。


ではでは。

久松