個人面談の結果&感想&お願い[久松 20110207]

新3年久松ゼミの皆さん:
<超長文です、ご注意ください>
<他ゼミ内定生に流したかったら、メール転送のみOKです>

どうも久松です。みなさん如何お過ごしでしょうか。
私は学期の仕事が終わり、入試モードに入ってます。
よく学生から「先生は休みに何をしているのですか」と
尋ねられますが、前学期の整理、入試、研究、来学期の準備です。
個人(卒論)面談もしますし、就活支援(ES添削)もします。

さて、皆さんとの個人面談が先週金曜日に
終わりましたので、コメントと感想を書きます。
もう秋学期も終わり、内定生と申し上げるのも面倒なので、
新3年生とくくってしまいます、あしからずです。

まず、総じての皆さんの印象を申し上げます。今年はいわゆる
「Uターン就活」をされる方がいなそうなので、秋学期に
皆さんで一緒に臨む就職活動準備はより整然とした
ものになると思います。東京で、チームで励んでください。

まずは就活の話を長々と書きますが、
ここから書くことは私にとっては当たり前のことですので、
夏から留学予定の方、大学院志望の方も
しばらくは基礎知識として読んでください。
皆さんについて、より具体的なことは、後で記します。

最初に結論です。
(1)キャリアについて目上の人と話してください。
(2)就職テスト勉強開始は夏(か春)。
(3)就活は、自分が「就社」する業界を三つもつところから開始。
(4)自己PRを書けるようになってください(「自分探し」は無駄)。
(5)春の課題をちゃんと計画的にこなしてね。お願い。
以上です。

(1)キャリアについて目上の人と話してください。

まず、春休みの間に、自分のキャリアについて目上の人と
話してください。親でもおじさん、おばさんでもいいです。
できれば、こういう人になりたいという10年上ぐらいの人が
いいのですが、目上ならだれでもいいです。その方のキャリア
についても伺うといいです。但し、卒業前の
4年生とか、新人1年目だとあまり皆さんとキャリア意識に
ついて変わらないかもしれないので、もう一人会ってください。

皆さんと面談していて、春学期にはこの人はこのOB/OGと会った
ほうがいいかなという人もいました。まだ見えないなぁという
人もいました。まずは自分でこういう人になりたいという
人と話して、その人のキャリア形成を尋ねてください。
どう時間を使っていたかというところが鍵です。一般に
「大学生は自分のキャリア」を探すものなので、他人も
比較的丁寧に教えてくれることが多いです。今が旬です。

(2)就職テスト勉強開始は夏(か春)。

就職活動における準備作業の基本は、
1)テスト(SPI2が有名だが、それだけではない)
2)エントリー・シート(ES)執筆への各作業
の二つです(面接は目上の人と会話できるかどうかだけ)。

就職テストについては、まずはお暇な時に本屋で本をチラ見してください。
こんなタイプのテストなのだという「イメージ」を持っておくのが
これから夏までは大事です(英語が出るテストもあったりします)。
目安としては、夏休みに一冊通してやってみるということです。
公務員の勉強をしない人たちは、いまからテスト準備をする
必要は一般にはありません。とくに中学受験準備を経験した人は
問題の類似性に驚くことでしょう。ただし、もし夏休みに財務レポート執筆と
ゼミ合宿以外に大きなイベントを計画している人(例:海外旅行)は、
春学期中に一冊終わらしておくことを勧めます。
旅行中にSPI2の準備なんてできません。テキストは
SPIノートの会『この業界・企業でこの「採用テスト」が使われている!』を
最初の一冊としてお勧めしておきます。なお、1,2年前のものでも
いいので、ブック・オフで中古本を買うのが費用節約かもしれません。

リンク1:
SPIノートの会
http://www.spinote.jp/

(3)就活は、自分が「就社」する業界を三つもつところから開始。

ESの話に移ります。個人面談で述べたように、
A)志望動機、
B)自分が学生時代に力を入れたこと、
C)自己PR、
の三つが基本になります。個人面談では、特にB)について
これまでの二年間を踏まえて、一年後に完成版が書けるように
意識的に作っていってくださいとお願いしました。
サークル、アルバイト、ゼミ、その他、なんでもいいです。
ただし、短期間の作業は私は好みません。
人間は誰でも一年に数日は頑張れるからです。

A)とC)の準備作業は、一般にはそれぞれ業界分析と自己分析です。
両方とも、秋学期の就活イベントで大学の講師が
「一般的なやり方=誰でもできるやり方」を教えてくれます。
誰でもできるやり方というのは一般にはたいした成果は生み出さないもの
です。ゼミで勉強する財務分析は、ある種、高度な業界分析なので、
ゼミでも就活の訓練ができると思ってください。まずは、業界には何があるか
ということを知らなければなりません。
毎年そうですが、皆さんは(日経)新聞を
読まないので、業界を知りません。業界には何があるかを知ってください。
志望業界をとりあえず三つ持ってください。

業界の分け方を知るには、楽天が持っている『みんなの就職活動日記
というサイトが良いでしょう。
秋から冬には、毎日のように見ることになります。
登録してください。
志望業界をとりあえず常に三つ持ってください。ある業界が嫌いに
なったら、別の業界に変えてください。

リンク2:
みんなの就職活動日記
http://www.nikki.ne.jp/

キャリア志望については、業界志望がある人もいましたが、
職種志望だけ、もしくは何もない人もいました。
もう一度書きます。志望業界をとりあえず三つ持ってください。
お願いします。

キャリアについては個人面談で『ホップ・ステップ・ジャンプ』理論を
紹介しました。ホップでは「就社」」です。ステップで自分の職種を考え試し、
ジャンプは『職種選択』です。面談で私の話をしましたが、ある職種
(私の場合、「教育・研究」)を30年間毎日ジャンプするというのが
キャリアの最終目標です。金持ちになったら途中で引退してかまいません。
皆さんから、ジャーナリズム、企画、商品設計、
マーケティング、編集など希望職種が出てきましたが、仕事は
なんといっても「適性」です。好きな職種なのに適性が無いことほど
悲劇はありません。ホップ(1年後始まる就活)では、
嫌いでない業界で、生き残っている企業での正社員をゲットしてください。
職種について自分を鍛えるのはステップ作業。
どの企業にも商品設計、マーケティング、広報、総務、営業があります。
自分のステップ期間に君自身の本当の適性と、
移り変わる希望を妥協させてください。

就活が見えない人には、この本を強くお勧めします。
海老原嗣生『2社で迷ったらぜひ、5社落ちたら絶対読むべき就活本
― 受ける「順序」を変えるだけで、内定率アップ!』(プレジデント社、2011年)
1200円+税ですが、その価値はあります。この本を読みながら、
著者に突っ込みを入れるくらいになっていれば貴方はOKです。
全ての本が100%正しいということはありえませんから。

企業のことをもう少し知りたいという方には、お勧めする雑誌があります。
日経ビジネス」です。この雑誌は、10年以上前から私が自分の金を
出して定期購読している唯一の週刊誌です。買いたくなければ
あなたの近くの公共図書館にあるはずです。無ければ、東洋の
図書館(第一)にもあります。これを一日かけてバックナンバーを
一年分ぐらいノートを取りながら、
飛ばし読みすれば(browse)、今の日本の企業状況が具体名と
共にわかります。新聞を毎日流し読みするのも大切ですが、
日経ビジネスは圧縮された情報がつまっています。

(4)自己PRを書けるようになってください(「自分探し」は無駄)。

次は、自己PRの元になる「自己分析」です。自分について
図や表を書いて分析したことが無い人は秋にやらされます。
今やるかどうかはお任せします。
参考書として勧めることができるのは
金井 壽宏『やる気!攻略本』(ミシマ社、2008年)
ですが、これは図書館で借りるのがいいと思います。

なお、自己分析と似た概念ですが、やってはいけない作業に
『自分探し』があります。自分探しをした有名人に元プロサッカー選手の
中田英寿氏がいますが、世界を数周して彼が自分を探し終わったという
記事を読んだことがありません。自分探しと就活用の自己分析とは
似て非なる作業ですので、ご注意ください。

『自分探し』が不毛なのは、自分を外に探すからです。折角、
外に出るのなら自分の関心から他人に質問すべきです。
日本の大学生は質問する力ががもともと弱く、そして訓練をしないので、
これを訓練するのは『自分探し』よりずっとずっと有益な作業です。
お勧めする本は、
M・ニール・ブラウン&スチュアート・M・キーリー
クリティカル・シンキング練習帳』(PHP研究所、2004年)
です。amazon.co.jpでは中古本が入手可能なようです。
本書は英語が原書なので、英文オリジナルと対照して
読み進めると英語の勉強にもなります。
今回、一人にお貸ししました(原書)。

自己分析したら、自己PRを書けるようにならなくては
いけません。もしくは自己PRが書ければ、自己分析を
したことになると言ってもいいです。
自己PRを実際書く作業についての良書は、
森村 稔 『自己プレゼンの文章術』 (ちくま新書、2007年)
です。これは安い本なので、 本屋で買ってください。
この本が良いのは、大学生が書きそうな悪い例が
載っていることです。悪い例を読むと、少なくとも頭では
やってはいけないことがわかります。自己プレゼンが書ける人は、
読み飛ばしてチェックすれば結構です。

以上、キャリアについていろいろ書きましたが、参考にしてください。

(5)春の課題をちゃんと計画的にこなしてね。お願い。

春休みに自分の課題解決を進めてください。
1)自分の春休みの課題
海外に行かれる方々(お二人、三人?)は、
充実した日々を過ごされることをお祈りします。
2)ミクロ経済学の勉強
すでに微分学習のテキストを私から借りてコピーして
いった人が一人いました。既習組・数学得意組は三土修平
『はじめてのミクロ経済学』をよろしく。
3)共通課題:
山岸 俊男&メアリーC・ブリントン『リスクに背を向ける日本人』
(講談社現代新書)
の読書レポートもお願いね。
(A4×1 枚のコメント・ペーパー(内容で印象に残ったことの
要約半分+コメント半分)を書いてメールで提出(締め切り:3/31
hisamatsu@toyo.jp までメール添付で送付のこと))

春学期はなるだけ統計学(木曜5時限)を受けてください。
パソコン統計ができないと、これからの文系は使い物になりません。

英語は、情報取得を中心にやってください。
ファッションが好きだったら、ファッション情報を英語で読む。
時事ニュースを読むと就活と一石三鳥になります。まずは
NHK(世界で最も速度が遅い英語ニュース)からね。
http://www.nhk.or.jp/daily/english/

会計(簿記、FP)を先取りして勉強している方々へ:
永野 則雄『経営がわかる会計入門』 (ちくま新書、2004年)
國貞 克則『決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法』
(朝日新書 44、2007年)
をお勧めしておきます。永野(2004)はやや古いですが、まだ使えます。
國貞(2004)は、本人のデビュー作で出世作です。

留学組へ:
まず、自分の学習言語でマンキューを春学期に同時に
読み進めることを考えましょう。
(仏語版)Principes de l'economie : Adaptation europeenne [Broche]
Gregory N. Mankiw (Auteur), Mark P. Taylor (Auteur), Pierre Dehez (Preface), Elise Tosi (Traduction)
(英語版)N. Gregory Mankiw, Principles of Economics
(英語版は手元にありますのでコピー可能。仏語版はすみません、持ってません)

自分が行く国の情報にその国の言語で毎日ふれましょう。
そのためには新聞・Internetでどうぞ。

注意書きですが、今回お勧めした本は、春学期の読書レポートの
課題本としては選べません。理由は、本来ならば高校までの
レーニングでできるようになる当たり前の内容だからです。

そうそう、携帯メ―リスが立ちあがったようです。福富さんありがとう。
三土でも微分でも英語でも他人と勉強したくなったら、
駄目元でメ―リスで声を上げてみてはどうでしょう。
お勧めしておきます。一人で勉強するより、グループと一人を
組み合わせて勉強するほうが楽しく効果があるものです。

大学院(金融ファイナンス)組(一人?)へ:
春休みの読書として、三土のほか、マルキール (2007)と川西 (2010)を勧めました。
ここまでが(ちゃんとした)経済学部2年の内容。
これが終われば、チャン&ウェインライト (2010)の二冊をやって、ヴァリアン(2007)
と井出&高橋 (2009)に取り組み、夏休みに大村 (2010)が終わるぐらいだと
いいですね。これで経済学部3年に追いつきます。

【参考文献】
A.C. チャン&K. ウエインライト『現代経済学の数学基礎』〈上・下〉(シーエーピー出版、2010年)
井手正介&高橋文郎『経営財務入門 (ビジネス・ゼミナール) 』(日本経済新聞出版社、2009年)
川西 諭『図解 よくわかる行動経済学―「不合理行動」とのつきあい方』
バートン マルキールウォール街のランダム・ウォーカー 株式投資の不滅の真理』 (日本経済新聞出版社、2007年)
大村 敬一『ファイナンス論 -入門から応用まで』 (有斐閣ブックス、2010年)
ハル R.ヴァリアン『入門ミクロ経済学』(勁草書房、2007年)

長文ごめんなさい。では充実した納得いく春休みを。
よく遊び、よく学んでください。ご相談があればいつでもメールください。
全員で会えるのは4月6日の在校生オリの後の花見@播磨坂かな。
たぶん満開の次の日ぐらいでしょう。楽しみにしています。
最後、健康管理と火の元に気をつけて。

あぁ何か「ほう・れん・そう」があればいつでもどうぞ。
ではでは。

久松