英語で情報を取る:スーパーボウル、大相撲、エジプト軍 [久松 20110208]

浅見さん、綾部さん、西中さん、須賀さん、丹羽さん:
<関心がありそうな人には転送してもかまいません>
<不要なら、久松に送るな、と言ってください>
<暇な時に読んで頂ければ幸いです>

どうも久松です。昨日、超長文メールを書いて疲れたので
今回の「英語で情報を取る」は比較的短く行くつもりです。

米国で日曜にはスーパーボールがありました。クリスティーナ・アギレラ
国歌を間違えて歌ったことで日本でも報道されていましたが、
米国最大のスポーツ・イベントと言っても過言ではないでしょう。
その際に、放送される特別CMと共に注目されます。
(今年は、『カリブの海賊4』の予告編が流れたようですね)

米国に行く方は、お暇な時にアメフトのルールは覚えましょう。
私も細かい戦術・戦略は知りませんが、陣取り合戦で制限時間内に点を入れる
スポーツだということぐらいは知っています。今年のスーパーボウル
Green Bay PackersがPittsburgh Steelersを逃げ切って
面白かったです。

さて、経済学の重要単語であるincentiveとGreen Bay Packersとの
関係について、Rachel Maddowがリポートしています。
これは知っていてよい情報です。プロのアメフトは莫大な
お金が動くスポーツですが、Packersは唯一community franchiseです。
つまり、人口10万人のGreen Bay市(町?村?)のチームです。
その小さい町が、なぜNFLのチームを持てているのか?

Green Bay Packers: Cheeseheads of the people
Rachel Maddow reports on how the history and financing of the Green Bay
Packers makes it a unique team.
http://www.msnbc.msn.com/id/26315908/vp/41434288#41434288

サッカー好きの方なら、BarcelonaとReal Madridとの違いなども
思いだすかもしれんせん。

米国で国技と言えば、今ふれたアメフトに加えて、
野球、バスケットボール、アイスホッケーで
しょうが、英語ではNational PastimeもしくはNational Sportと言います。
National Pastimeという言葉を覚えてください。Wikipedia
これを引くと、日本の国技がリストには載ってませんでした。
http://en.wikipedia.org/wiki/National_pastime

しかし、「国技館」という言葉もあるように、大相撲は国技と名乗っています。
私も、大昔、北の湖が好きでしたので、相撲はそこそこ見てますが、
今回の八百長問題には、力士というより、ジャーナリズムに呆れています。

私の経済学基礎Aを履修した方は(いるかしら?)、教科書として
レヴィット=ダブナー『ヤバい経済学』を使ったことを覚えていらっしゃるでしょう。

そこに、統計学的には「八百長がないとは言えること」はありえないという
証明がされています。ずっと数字を見過ごしてきた大新聞はとても悪いです。
関係者であえて言わないことにしてきたのですね。
そして、背景には日本人の数字・統計学への知識・関心の無さが
露呈しているのだと思います。

英字新聞では、いろんな形で報道されていますが、一つだけ。
http://blogs.wsj.com/japanrealtime/2011/02/02/sumo-gambling-booze-and-drugs/
日本の事を外国語で言えるのは大事なことなので、読んでおきましょう。

さて、「言わないことにしてきた」こと、というのは言論封殺に通じる
わけで、そういう意味では民主主義に関わって結構問題なのですが、
今回のエジプト騒動で核心を握るエジプト軍について、興味深い報道がなされました。

私は、こういう報道はラジオの鏡だと思いますし、非常に頭の良い
先進国的なジャーナリズム(専門家に聞いてみよう!)だと
思います。私の好きなNPRのPlanet Moneyです。

The Friday Podcast: Egypt's Military, Inc.
http://www.npr.org/blogs/money/2011/02/07/133503696/the-friday-podcast-egypts-military-inc

このpodcastは素晴らしいです。真実の一面をついています。
そして、エジプトではこういうことはタブー(言わないこと)になっている
というのも興味深いです。但し、エジプト軍については、こういう経済面
の分析だけでなく、政治的な分析も必要です。FTに良いop-edが載ってました。
(読みたい方は言ってください。)

日本でもこういうジャーナリズムをやれる資源(専門家)はあるのですが、
私の知る限りでは、どのマスコミもやっていないようですね。もったいないことです。


ではでは。

久松

Gillian TettのFTでのコラム[久松 20110122]

浅見さん・綾部さん:

どうも久松です。添付はFT (Financial Times、
ロンドンが本部の世界経済新聞、ピンクとオレンジの
中間色のような紙の色が特徴)のコラムニストである
ジリアン・テット(女性)による日本人と
中国人の米国の大学における存在についてのコラム。
コロンビア、ハーバードの話と言えば、皆さんとは
やや遠いように感じられるかもしれませんが、
基本は、米国における若い日本人という同じ種類の話です。
7分以内で読み飛ばして大意がわかりますか。

なお、ジリアン・テットは、社会人類学の教育を
受けた後、FT紙の記者となり、日本駐在時に
バブル崩壊金融危機を体験し、日本長期信用銀行
崩壊に関する良書「セイビング・ザ・サンリップルウッド新生銀行の誕生」
(翻訳あり)を書き、最近はリーマン・ショックにまで
つながる新しい金融派生商品の開発の歴史をJ.P.モルガンに
焦点をあてて描いた、これも良書「愚者の黄金」(翻訳あり)を
書いた新聞記者です。きらめくように頭がよいというよりは
非常に着実な書き手です。

"even when Japanese students can find the money to come, their English
is often too poor - and they often fail to properly
engage"と書かれると、くやしいので、お二人、励んでください。
私ももう少し気合いを入れます。
英語だけではない、engageの仕方が大事だというのがポイントです。
engageの仕方の一つは、理論的に質問を考えること。例えば、
国際政治経済で学んだような道具で、平易に世の中の問題を
考える思考実験を毎日おこない、議論すること。
他にもやり方はありますが、よろしくお願いします。

ではでは。

久松

So who’s top of the class now?
By Gillian Tett
Published: January 21 2011 22:04

オバマの一般教書演説[久松 20110126]

浅見さん、綾部さん:

どうも久松です。ときどき、お二人の米国留学に備えて、
私が見聞きした情報をお伝えすることにします。
私は米国で暮らす人の「常識」だというぐらいの
意気込みですが、私にも「偏り」があるので、時々よろしく。

昨日火曜日にオバマ大統領は「一般教書演説」を行いました。
英語ではState of the Union addressといいます。
NHKニュースは学校サイトに入れました。
まぁ見てみてください。
http://rdarc.rds.toyo.ac.jp/webdav/hisamatsu/internal/downloads/110126Obama_SOTU/

その一般情報については、Wikipediaでも見てください。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%80%E8%88%AC%E6%95%99%E6%9B%B8%E6%BC%94%E8%AA%AC

秋学期の開発経済論の教科書著者であるポール・クルーグマン(リベラル派)のブログ・コメントは下記。
http://krugman.blogs.nytimes.com/2011/01/25/sotu/

日本で一般に報道されるのはここまでですが、実は野党からこれに対する反対演説があります。
現在の野党は共和党であり、ポール・ライアン(下院議員)が代表して反対演説をおこないました。
内容は、歳出削減による公的債務削減を主張した模様です。
http://www.npr.org/2011/01/26/133228598/speech-transcripts-obama-ryan-bachmann

このあと、「茶会党」と呼ばれる共和党の一派の一人として
ミシェル・バックマン下院議員もスピーチをしたそうです。
これは異例です。

以下は、基礎知識の確認。
共和党はRepublican Partyですが、GOP (Grand Old Party)と呼ばれることもあります。
形容詞ではconservativeというのが良く使う形容詞。色は赤。右か左かというと右。
ビジネス寄りなので選挙資金が多い。
ニクソン、フォード、レーガン、ブッシュ親爺、ブッシュ息子が共和党の大統領。

民主党はDemocratic Partyです。形容詞ではliberalprogressiveという言葉と
馴染みが深い。色は青。右か左かというと左。
労働組合を支持母体として抱えています。
ケネディ、ジョンソン、カーター、クリントンオバマ民主党の大統領。

ではでは。

久松

個人面談の結果&感想&お願い[久松 20110207]

新3年久松ゼミの皆さん:
<超長文です、ご注意ください>
<他ゼミ内定生に流したかったら、メール転送のみOKです>

どうも久松です。みなさん如何お過ごしでしょうか。
私は学期の仕事が終わり、入試モードに入ってます。
よく学生から「先生は休みに何をしているのですか」と
尋ねられますが、前学期の整理、入試、研究、来学期の準備です。
個人(卒論)面談もしますし、就活支援(ES添削)もします。

さて、皆さんとの個人面談が先週金曜日に
終わりましたので、コメントと感想を書きます。
もう秋学期も終わり、内定生と申し上げるのも面倒なので、
新3年生とくくってしまいます、あしからずです。

まず、総じての皆さんの印象を申し上げます。今年はいわゆる
「Uターン就活」をされる方がいなそうなので、秋学期に
皆さんで一緒に臨む就職活動準備はより整然とした
ものになると思います。東京で、チームで励んでください。

まずは就活の話を長々と書きますが、
ここから書くことは私にとっては当たり前のことですので、
夏から留学予定の方、大学院志望の方も
しばらくは基礎知識として読んでください。
皆さんについて、より具体的なことは、後で記します。

最初に結論です。
(1)キャリアについて目上の人と話してください。
(2)就職テスト勉強開始は夏(か春)。
(3)就活は、自分が「就社」する業界を三つもつところから開始。
(4)自己PRを書けるようになってください(「自分探し」は無駄)。
(5)春の課題をちゃんと計画的にこなしてね。お願い。
以上です。

(1)キャリアについて目上の人と話してください。

まず、春休みの間に、自分のキャリアについて目上の人と
話してください。親でもおじさん、おばさんでもいいです。
できれば、こういう人になりたいという10年上ぐらいの人が
いいのですが、目上ならだれでもいいです。その方のキャリア
についても伺うといいです。但し、卒業前の
4年生とか、新人1年目だとあまり皆さんとキャリア意識に
ついて変わらないかもしれないので、もう一人会ってください。

皆さんと面談していて、春学期にはこの人はこのOB/OGと会った
ほうがいいかなという人もいました。まだ見えないなぁという
人もいました。まずは自分でこういう人になりたいという
人と話して、その人のキャリア形成を尋ねてください。
どう時間を使っていたかというところが鍵です。一般に
「大学生は自分のキャリア」を探すものなので、他人も
比較的丁寧に教えてくれることが多いです。今が旬です。

(2)就職テスト勉強開始は夏(か春)。

就職活動における準備作業の基本は、
1)テスト(SPI2が有名だが、それだけではない)
2)エントリー・シート(ES)執筆への各作業
の二つです(面接は目上の人と会話できるかどうかだけ)。

就職テストについては、まずはお暇な時に本屋で本をチラ見してください。
こんなタイプのテストなのだという「イメージ」を持っておくのが
これから夏までは大事です(英語が出るテストもあったりします)。
目安としては、夏休みに一冊通してやってみるということです。
公務員の勉強をしない人たちは、いまからテスト準備をする
必要は一般にはありません。とくに中学受験準備を経験した人は
問題の類似性に驚くことでしょう。ただし、もし夏休みに財務レポート執筆と
ゼミ合宿以外に大きなイベントを計画している人(例:海外旅行)は、
春学期中に一冊終わらしておくことを勧めます。
旅行中にSPI2の準備なんてできません。テキストは
SPIノートの会『この業界・企業でこの「採用テスト」が使われている!』を
最初の一冊としてお勧めしておきます。なお、1,2年前のものでも
いいので、ブック・オフで中古本を買うのが費用節約かもしれません。

リンク1:
SPIノートの会
http://www.spinote.jp/

(3)就活は、自分が「就社」する業界を三つもつところから開始。

ESの話に移ります。個人面談で述べたように、
A)志望動機、
B)自分が学生時代に力を入れたこと、
C)自己PR、
の三つが基本になります。個人面談では、特にB)について
これまでの二年間を踏まえて、一年後に完成版が書けるように
意識的に作っていってくださいとお願いしました。
サークル、アルバイト、ゼミ、その他、なんでもいいです。
ただし、短期間の作業は私は好みません。
人間は誰でも一年に数日は頑張れるからです。

A)とC)の準備作業は、一般にはそれぞれ業界分析と自己分析です。
両方とも、秋学期の就活イベントで大学の講師が
「一般的なやり方=誰でもできるやり方」を教えてくれます。
誰でもできるやり方というのは一般にはたいした成果は生み出さないもの
です。ゼミで勉強する財務分析は、ある種、高度な業界分析なので、
ゼミでも就活の訓練ができると思ってください。まずは、業界には何があるか
ということを知らなければなりません。
毎年そうですが、皆さんは(日経)新聞を
読まないので、業界を知りません。業界には何があるかを知ってください。
志望業界をとりあえず三つ持ってください。

業界の分け方を知るには、楽天が持っている『みんなの就職活動日記
というサイトが良いでしょう。
秋から冬には、毎日のように見ることになります。
登録してください。
志望業界をとりあえず常に三つ持ってください。ある業界が嫌いに
なったら、別の業界に変えてください。

リンク2:
みんなの就職活動日記
http://www.nikki.ne.jp/

キャリア志望については、業界志望がある人もいましたが、
職種志望だけ、もしくは何もない人もいました。
もう一度書きます。志望業界をとりあえず三つ持ってください。
お願いします。

キャリアについては個人面談で『ホップ・ステップ・ジャンプ』理論を
紹介しました。ホップでは「就社」」です。ステップで自分の職種を考え試し、
ジャンプは『職種選択』です。面談で私の話をしましたが、ある職種
(私の場合、「教育・研究」)を30年間毎日ジャンプするというのが
キャリアの最終目標です。金持ちになったら途中で引退してかまいません。
皆さんから、ジャーナリズム、企画、商品設計、
マーケティング、編集など希望職種が出てきましたが、仕事は
なんといっても「適性」です。好きな職種なのに適性が無いことほど
悲劇はありません。ホップ(1年後始まる就活)では、
嫌いでない業界で、生き残っている企業での正社員をゲットしてください。
職種について自分を鍛えるのはステップ作業。
どの企業にも商品設計、マーケティング、広報、総務、営業があります。
自分のステップ期間に君自身の本当の適性と、
移り変わる希望を妥協させてください。

就活が見えない人には、この本を強くお勧めします。
海老原嗣生『2社で迷ったらぜひ、5社落ちたら絶対読むべき就活本
― 受ける「順序」を変えるだけで、内定率アップ!』(プレジデント社、2011年)
1200円+税ですが、その価値はあります。この本を読みながら、
著者に突っ込みを入れるくらいになっていれば貴方はOKです。
全ての本が100%正しいということはありえませんから。

企業のことをもう少し知りたいという方には、お勧めする雑誌があります。
日経ビジネス」です。この雑誌は、10年以上前から私が自分の金を
出して定期購読している唯一の週刊誌です。買いたくなければ
あなたの近くの公共図書館にあるはずです。無ければ、東洋の
図書館(第一)にもあります。これを一日かけてバックナンバーを
一年分ぐらいノートを取りながら、
飛ばし読みすれば(browse)、今の日本の企業状況が具体名と
共にわかります。新聞を毎日流し読みするのも大切ですが、
日経ビジネスは圧縮された情報がつまっています。

(4)自己PRを書けるようになってください(「自分探し」は無駄)。

次は、自己PRの元になる「自己分析」です。自分について
図や表を書いて分析したことが無い人は秋にやらされます。
今やるかどうかはお任せします。
参考書として勧めることができるのは
金井 壽宏『やる気!攻略本』(ミシマ社、2008年)
ですが、これは図書館で借りるのがいいと思います。

なお、自己分析と似た概念ですが、やってはいけない作業に
『自分探し』があります。自分探しをした有名人に元プロサッカー選手の
中田英寿氏がいますが、世界を数周して彼が自分を探し終わったという
記事を読んだことがありません。自分探しと就活用の自己分析とは
似て非なる作業ですので、ご注意ください。

『自分探し』が不毛なのは、自分を外に探すからです。折角、
外に出るのなら自分の関心から他人に質問すべきです。
日本の大学生は質問する力ががもともと弱く、そして訓練をしないので、
これを訓練するのは『自分探し』よりずっとずっと有益な作業です。
お勧めする本は、
M・ニール・ブラウン&スチュアート・M・キーリー
クリティカル・シンキング練習帳』(PHP研究所、2004年)
です。amazon.co.jpでは中古本が入手可能なようです。
本書は英語が原書なので、英文オリジナルと対照して
読み進めると英語の勉強にもなります。
今回、一人にお貸ししました(原書)。

自己分析したら、自己PRを書けるようにならなくては
いけません。もしくは自己PRが書ければ、自己分析を
したことになると言ってもいいです。
自己PRを実際書く作業についての良書は、
森村 稔 『自己プレゼンの文章術』 (ちくま新書、2007年)
です。これは安い本なので、 本屋で買ってください。
この本が良いのは、大学生が書きそうな悪い例が
載っていることです。悪い例を読むと、少なくとも頭では
やってはいけないことがわかります。自己プレゼンが書ける人は、
読み飛ばしてチェックすれば結構です。

以上、キャリアについていろいろ書きましたが、参考にしてください。

(5)春の課題をちゃんと計画的にこなしてね。お願い。

春休みに自分の課題解決を進めてください。
1)自分の春休みの課題
海外に行かれる方々(お二人、三人?)は、
充実した日々を過ごされることをお祈りします。
2)ミクロ経済学の勉強
すでに微分学習のテキストを私から借りてコピーして
いった人が一人いました。既習組・数学得意組は三土修平
『はじめてのミクロ経済学』をよろしく。
3)共通課題:
山岸 俊男&メアリーC・ブリントン『リスクに背を向ける日本人』
(講談社現代新書)
の読書レポートもお願いね。
(A4×1 枚のコメント・ペーパー(内容で印象に残ったことの
要約半分+コメント半分)を書いてメールで提出(締め切り:3/31
hisamatsu@toyo.jp までメール添付で送付のこと))

春学期はなるだけ統計学(木曜5時限)を受けてください。
パソコン統計ができないと、これからの文系は使い物になりません。

英語は、情報取得を中心にやってください。
ファッションが好きだったら、ファッション情報を英語で読む。
時事ニュースを読むと就活と一石三鳥になります。まずは
NHK(世界で最も速度が遅い英語ニュース)からね。
http://www.nhk.or.jp/daily/english/

会計(簿記、FP)を先取りして勉強している方々へ:
永野 則雄『経営がわかる会計入門』 (ちくま新書、2004年)
國貞 克則『決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法』
(朝日新書 44、2007年)
をお勧めしておきます。永野(2004)はやや古いですが、まだ使えます。
國貞(2004)は、本人のデビュー作で出世作です。

留学組へ:
まず、自分の学習言語でマンキューを春学期に同時に
読み進めることを考えましょう。
(仏語版)Principes de l'economie : Adaptation europeenne [Broche]
Gregory N. Mankiw (Auteur), Mark P. Taylor (Auteur), Pierre Dehez (Preface), Elise Tosi (Traduction)
(英語版)N. Gregory Mankiw, Principles of Economics
(英語版は手元にありますのでコピー可能。仏語版はすみません、持ってません)

自分が行く国の情報にその国の言語で毎日ふれましょう。
そのためには新聞・Internetでどうぞ。

注意書きですが、今回お勧めした本は、春学期の読書レポートの
課題本としては選べません。理由は、本来ならば高校までの
レーニングでできるようになる当たり前の内容だからです。

そうそう、携帯メ―リスが立ちあがったようです。福富さんありがとう。
三土でも微分でも英語でも他人と勉強したくなったら、
駄目元でメ―リスで声を上げてみてはどうでしょう。
お勧めしておきます。一人で勉強するより、グループと一人を
組み合わせて勉強するほうが楽しく効果があるものです。

大学院(金融ファイナンス)組(一人?)へ:
春休みの読書として、三土のほか、マルキール (2007)と川西 (2010)を勧めました。
ここまでが(ちゃんとした)経済学部2年の内容。
これが終われば、チャン&ウェインライト (2010)の二冊をやって、ヴァリアン(2007)
と井出&高橋 (2009)に取り組み、夏休みに大村 (2010)が終わるぐらいだと
いいですね。これで経済学部3年に追いつきます。

【参考文献】
A.C. チャン&K. ウエインライト『現代経済学の数学基礎』〈上・下〉(シーエーピー出版、2010年)
井手正介&高橋文郎『経営財務入門 (ビジネス・ゼミナール) 』(日本経済新聞出版社、2009年)
川西 諭『図解 よくわかる行動経済学―「不合理行動」とのつきあい方』
バートン マルキールウォール街のランダム・ウォーカー 株式投資の不滅の真理』 (日本経済新聞出版社、2007年)
大村 敬一『ファイナンス論 -入門から応用まで』 (有斐閣ブックス、2010年)
ハル R.ヴァリアン『入門ミクロ経済学』(勁草書房、2007年)

長文ごめんなさい。では充実した納得いく春休みを。
よく遊び、よく学んでください。ご相談があればいつでもメールください。
全員で会えるのは4月6日の在校生オリの後の花見@播磨坂かな。
たぶん満開の次の日ぐらいでしょう。楽しみにしています。
最後、健康管理と火の元に気をつけて。

あぁ何か「ほう・れん・そう」があればいつでもどうぞ。
ではでは。

久松

英語で情報を取る(欧州経済&エジプト政治)[久松 20110202]

浅見、綾部、西中、須賀、丹羽さん:
<関心がありそうな人には転送してもかまいません>
<不要なら、久松に送るな、と言ってください>
<暇な時に読んで頂ければ幸いです>

昨日のTOEICテスト、お疲れさまでした。

今日のトピックは、ヨーロッパの経済問題と、
エジプトの政治問題です。両方ともに、日本のメディアの
報道が弱いのが特徴です。とはいえ、両者に日本は深く
関わっています。アイルランド政府の救済に日本政府は大きく
関わっていますし、エジプトが管理するスエズ運河
日本の海上輸送の一つの生命線です。

ヨーロッパの経済問題(特にユーロの今後)を考える上で、
見通しの良い新聞記事がNew York Times Magazineに出ました。
Paul KrugmanのCan Europe Be Saved? (Jan. 12, 2011)というのがそれです。
http://www.nytimes.com/2011/01/16/magazine/16Europe-t.html?_r=2&pagewanted=all
これはヨーロッパ、もしくは世界経済、国際金融に関心を持つ人には必見です。
読み飛ばしてわかれば結構です。

わからなければ日本語の解説があります。
http://d.hatena.ne.jp/himaginary/20110201/FOUR_EUROPEAN_PLOTLINES
しかし、是非とも英語で「読み飛ばして」いただきたいと思います。
私思うに、こういうのを読んでわかるようになることこそ、
大学で英語と経済学を勉強する理由だと思います。
(前回、MajorとMinorの話をしたことを想起してください)

他岸の火事だと思わないでください。日本の公的債務残高を考えると
ここ数年で、かなり状況が変わる可能性があります。つまり、
これまで日本の公的債務は(一千兆円ほど)は、日本国内の貯蓄で
賄ってきました。つまり、我々が銀行・郵貯に貯蓄して、その金が
日本国債を買うのに使われてきたのです。しかし、ここ数年で
その金が足りなくなります。借金は増えますので、海外から
借金をしなくてはならなくなります。必然的に、より国際金融と
関わりを持たなくてはならなくなります。

また、私は
1)TPP賛成、
2)アジア共通通貨反対
ですが、2)の根拠が、このKrugmanのop-edに書かれています。

Paul Krugmanは私の秋学期の「開発経済論」のテキストである
『世界大不況からの脱出』
The Return of Depression Economicsの著者であり、
2008年のノーベル経済学賞の受賞者であり、
New York Timesのコラムニストであり、
米国の「リベラル」論客の一人の代表者でもあります。

次は、エジプト情勢です。昨日(2月1日)、NHKクローズアップ現代』にて
山内昌之氏(東大)がエジプト軍の権益を考える必要があるとの
良いコメントをしていましたが、日本語での情報量は格段に低いと
思います。もちろん、新燃岳の噴火も大事だし、日本海岸の大雪も
大事なのですが、どうしてもニュースが少なすぎると思います。
(エンターテイメントが多いのは、無意識の愚民政策かと
勘ぐってしまいますが、これは考えすぎ)

そこで、本当は皆さんにAl Jazeeraを見ていただきたいのですが、
http://english.aljazeera.net/
なかなかリスニングが大変かもしれません。
文脈もわからないかもしれません。私も大変です。
今回は、もっと複雑なことを意識してもらおうと思うのですが、
まずは基本情報です。いつでもNHK onlineです。日本語は
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110202/t10013791981000.html
英語は
http://www.nhk.or.jp/daily/english/02_15.html
まだ、動画がアップされていないようです。

さて、こういう騒動では、当該政府はメディアを規制しようとします。
そこで、メディアはどうするのかというのがいつでも大事です。
これは視聴者側から言えば、「どう規制されたメディア」と向き合うか
ということです。このことは常に意識しておく必要があります。
できるだけ回避するためには、いろんなメディアから情報をとる
ようにするということです。

と言っても、なかなかわかりにくいかもしれませんので、
今回のエジプト騒乱についてのメディアの関わり方について
インタビューを行っているRachel Maddow Showのリンクを
つけておきます。ジャーナリズムというのは我々の頭の
情報源ですから、とても大事なので関心をもっていただけると幸いです。

Al Jazeera in Egypt, press under duress
Abderrahim Foukara, Washington bureau chief for Al Jazeera International,
talks with Rachel Maddow about the challenges of reporting in Egypt when the
government is hostile to a free press.
http://www.msnbc.msn.com/id/26315908/vp/41361437#41361437

今日は以上です。書きながら、皆さんがニコニコ生放送でも使って、
英語でRachel Maddow Showのような英語のニュース・ショーを日本で
作ってくれるととってもいいなぁと思ったのですが、まぁいいや。

最後、デモに実際に参加しているエジプトの小説家のop-edです。
日本語ではなぜかこういうものがすぐに出てきません。
題がカッコイイ。Date With a Revolution、つまり「革命とデート」。
http://www.nytimes.com/2011/01/31/opinion/31eldin.html?partner=rssnyt&emc=rss

それでは。乾燥しているので、風邪・インフルエンザにご注意を。

久松佳彰

英語の勉強レベル&その他[久松 20110129]

浅見さん、綾部さん:
CC:西中さん、須賀さん、丹羽さん:
<注意:長文です、お暇な時に読んでください。失礼。>

どうも久松です。読み飛ばして良い久松の勝手な英語解説です。
私には米国の知識が多いので、米国留学を控えた浅見・綾部さんに
これまで数本、英語情報を送ってきましたが、個人面談も終わって
ESPで英語に取り組むことになっている西中・須賀・丹羽さんにも
同送することにしました。不要なら言ってください。

<要点>
1)ちゃんとした学問には勉強レベルがある。
2)What's your major and minor?
3)英語の勉強レベルとは?
4)初中級の紹介(Let's Read Nikkei Weekly)

まず、全てのちゃんとした学問には勉強レベル(テキスト)があります。
例えば、ミクロ経済学では学部レベルで
初級:マンキュー経済学ミクロ編
初中級:三土『はじめてのミクロ経済学
中級:ヴァリアン『入門ミクロ経済学
上級(院初級):Varian, Microeconomic Analysis
という風になっています。極めていくには、下から
登っていくということになります。

ここで余談です。
大学で何を勉強しているの?と英語で尋ねられた
ときに、My major is A, and my minor is B.と答えることができます。
(A is my major, and B is my minor.という答えも可能)
米国では、これが単位取得と結びついて、より厳密になって
いますが、国際地域学科では皆さんがより自由に選べるように
柔軟になっています。だから、自分で宣言できるように
選べばいいのです。例えば、環境の北脇ゼミでカナダ留学を
した人なら、My major is environmental studies, and my minor is
English. とか言えばいいんですね。ということで、何が
自分のmajorか、何が自分のminorか考え始めてください。

What's your major and minor?
参考リンク
http://www.collegeanswer.com/selecting/content/sel_id_majors.jsp

さて、世の中には勉強レベルというものがありますから、
Economics is my majorというのであれば、
中級ぐらいはやっていてよねということになります。
ですから、経済学部の3年ゼミで入門ヴァリアン(実は、原題は
Intermediate Microeconomicsなので、世間ではIntermediate Varianと
呼ばれていますが、なぜか翻訳書は「入門」となっています)を
やっているのが普通です。ちゃんとした経済学部のミクロのゼミは
ここまでやっています。

じゃぁ久松ゼミって何なの?と思うかもしれません。

久松ゼミはBusiness Economicsのゼミです。なので、
会計(Accounting)、財務分析(Financial Analysis)、応用ミクロとしての
Managerial Economics(丸山『経営の経済学』)をやります。
その前提としては初中級のミクロ(三土)をやるわけです。
(それで皆さんに統計学もやっていただきたいのです)
ということで、みなさんのMajorかMinorのどちらかに
Business Economicsを入れていただこうと思っています。
もう一つは、たぶんEnglishですよね。じゃぁどちらを
Majorにして、どちらをMinorって言いますか?それは、
It's up to you.です。

やっと話の準備段階が終わりました。
Englishで勉強レベルってなんでしょう。
一年の国際地域学基礎Bで皆さんに、英語で情報を知識に変える
授業をするときに考えたのはこの問題でした。いろいろ
検索をしたのですが、こういうことを明確に考えている人が
いなかったので、自分で考えました。それがこれです。

英語で情報を知識に変える勉強レベル:
1)初級:NHKニュースとNHK World Newsの組み合わせ(サブゼミ英語)
http://www3.nhk.or.jp/news/
http://www.nhk.or.jp/nhkworld/
(英語の発音速度:かなり遅い)
2)初中級:Let's Read Nikkei Weekly
日本経済新聞を英語と日本語で理解する
http://www.radionikkei.jp/lr/
(英語の発音速度:やや遅い)
3)中級:CNN Student News(米国の高校生用)
http://www.cnn.com/studentnews/
(英語の発音速度:普通、単語レベル:易しい)
4)上級:普通の英語放送
例えば、NPR, Planet Moneyの
"Why You Should Be Afraid Of Japan"
http://www.npr.org/blogs/money/2011/01/28/133310924/why-you-should-be-afraid-of-japan
(英語の発音速度:普通、単語レベル:普通)

ということで、今日のお勧めは
Let's Read Nikkei Weeklyの1月21日放送分です。
http://www.radionikkei.jp/lr/entry-196428.html

記事は添付しておきます。
「身の丈縮小テコに世界へ――問われる固い決意と本気度(経営の視点)」
「Globalization a must for big makers」
これらの記事は、学校でアクセスできるデータベースサイトで
ダウンロードできます。
今すぐ聞くオンデマンドから聞ける21日分の放送で
6分30秒頃から解説、8分30秒頃から本文のリスニングができます。
お暇な時にどうぞ。

なお、グレゴリー・クラーク氏は経済学者、エコノミストという
よりビジネス・コメンテーターという肩書のほうがふさわしいです。
ヒューズ先生の知り合いだそうです。

ではでは。

久松

追伸1:サッカーのアジアカップで日本が優勝しましたが、
私はときどき相手国の新聞での評を見ます。これで
客観的になれることがあります。これも外国語を勉強する
一つのメリットです。例えば、
http://www.heraldsun.com.au/sport/soccer/live-socceroos-v-japan/story-e6frfg8x-1225996186104
http://www.theaustralian.com.au/news/sport/socceroos-suffer-extra-time-loss-n-asian-cup-final/story-fn63e0vj-1225996820510

追伸2:御存じでしょうが、エジプトが大変なことになっています。
日本の報道のカバレッジは弱いので、これも外国語のメディアを
見る一つの大きなメリットです。Al Jazeeraが良いと言われていますが、
Twitterで#Egyptと検索を入れてみるのも勉強になります。
私は、FT (Financial Times)、WSJ (Wall Street Journal)、
NYT (New York Times)を適当に見ています。NYTは無料なので
お勧めしておきます。
なお、ムバラク大統領が退陣したとして、その後も混迷は続く、
その後は終息するという二つの見方がありえます。これを
分析する手法は、比較政治学民主化論です。

ちなみに、日本の代議士の中でエジプト通は小池百合子氏です。
彼女が今後の衆議院の委員会で質問をするでしょう。
その質問にどれだけ民主党が応えられるか注目しましょう。